「結野、起きろ。
もう夕方だぞ。」
「...。」
「結野。
聞こえてないのか?」
「...。」
「起きないと...。
俺、お前に...。」
「ん...。」
「...す、
するぞ。」
「え...?」
目が覚めると、先輩が私を近くで見つめていた。
「せ、先輩...近いです。」
「よかった、生きてたか。」
「生きてますよ。」
「あまりに安らかに寝てるから、三途の川でも渡ったのかと。」
「お花畑は見えました...。」
「おい。」
私が起き上がると、毛布がかけてあるのがわかった。
「この毛布...先輩の匂いがします。」
「かぐなよ。」
「これは...お花の匂いですかね...。
えっと、紫色のあのいい匂いがするお花...。」
「...ラベンダー?」
「そうです、その匂いです。
先輩、ラベンダーがお好きな花なんですか?」
「別に好きってわけじゃないけど。
小さい頃から何故かこの匂いの方が落ち着くっていうか...。」
「そうなんですか...。」
「嫌いか?この匂い。」
「いえいえ、とんでもない。
とっても好きですよ。
私の好きなお菓子の匂いです...。」
「お前は食い物ばっかだな。」
「えへへ。
最近ちょっと控えてましたから...。」
「...好きなら我慢しなくてもいいのに。」
「そんな無責任な。
もし、私がいっぱい食べちゃって、すごく太っちゃったらどうするんですか!
私のこと...嫌になっちゃうでしょう?」
「ならねえよ。」
「本当ですか...?」
「本当だよ。」
そうはいってもね...。
「まあ...少しぐらい、頑張ったあとのご褒美ぐらいならいいんじゃないか?
俺みたいに極度に差があると、後々苦しいぞ。」
「先輩...ストレスあるといっぱい食べちゃうんでしたっけ。
昨日とかは大丈夫でした...?」
「大丈夫。」
本当かな...。
それこそ心配だな。
「先輩、何か辛いことあったら、いつでも言ってくださいね?」
「お前もな。」
「はい。」
先輩のこと、私がちゃんと見ててあげなくちゃな...。
意外と先輩は、悲しいこととかあっても言わないかもしれないから。
強がっちゃうところ...あるから...。
「あの、昨日は私、やっぱり自分勝手だったなって思います。
先輩たちは学校の皆のことを考えていたのに...。
私だけ自分のことだけで...。」
「いや...。
お前の言いたいことも分かるよ。
俺だって、なるべく2人で好きなことしたいのは同じだから。
今思えば全部お前の言う通りな気もするよ。」
「先輩、それは...。」
「今回のことは決まったことだから仕方ないにしても、今後の活動に関しては確かに、会長たちに俺たちの気持ちもはっきり伝えた方がいいと思う。」
先輩...。
私のことちゃんと考えてはくれていたんだな...。
思えば、昨日も...先輩は言おうとしてた。
今年は、私と一緒にいたいってこと...。
「お前は、それでいい?」
「はい、私も...一緒に言っていいですか?
その方が、皆分かってくれるかなって。」
「...ああ。
ありがとう。」
こうして、先輩とのわだかまりは完全に溶けた。
こんなに、すっきりするんなら、もっと前から先輩とこうやって確認しておけば良かったな。
先輩も同じ気持ちかな...。
私と一緒にいたいって、思ってくれてるのかな...。
そうやっているうちに、もう空が赤く染まってきた。
昨日より、色がはっきり、そして綺麗に見える。
もう...今日はお別れの時間...。
「先輩、私、もうそろそろ帰りますね。
今日はありがとうございました。」
「ああ。」
私はかけられていた毛布をたたんで置いてから、立ち上がって先輩にお礼を言った。
あ...。
先輩の顔...夕焼けの光に照らされて...。
綺麗...だな。
こういうとき、的確で詩的な言葉が思いつかないのが、私の頭の惜しいところだと思うけど。
あ...。
先輩...。
やっぱり、私...。
なんで...。
どうしてなの...?
...。
こんなに近くにいるはずなのに、
どうしてこういうとき、ずっと遠くの人だと思ってしまうんだろう。
先輩だって、私のこと想ってくれているはずなのに。
何回も、確認してるのに。
お互いに、ずっと、
好きだ
って...。
「せんぱ...。」
言いかけたけど、もうそれ以上は...。
この夕焼けに焦されたように切ない想いを、
どうしても、彼に伝えられなかった。
「...。」
「なんだよ、そんなに悲しそうな顔して。」
先輩...。
「家まで送ってくよ。
もう遅いし、お前1人だと心配だから。」
「先輩...。」
うん...。
そうなんだけど...。
まだちょっとは...一緒にいれるけど...。
家に帰ったらまた...。
せっかく仲直りしたのに...。
寂しく、なっちゃう。。
先輩はそんな気持ちの私をよそに、さっさと玄関の方に行ってしまう。
先輩は、どうして、こんなに落ち着いてるんだろう。
私とは...違う、の...?
やっぱり昨日もそうだけど、
私だけ、
こうやって空回りする。
また、しょうもなく、子どもみたいに、
拗ねたりしたら、いけないんだ...。
我慢、しなきゃ...。
私も、重い足取りで、玄関に向かう。
「遅い。」
「すみません...。」
「...急に俺の家に行きたいってわがまま言い出したかと思えば、今になって我慢するなんて、
そんなの、馬鹿がすることだぞ。」
「が、まんなんて...して、ません...。」
「そうか。」
先輩はそうやって私を冷たくあしらった。
それで...もう...。
あ...、
先輩、
行っちゃう...。
、
「なんて、
俺が何もなく外に出るかと思ったか。」
、、、。
気づいたら、私は先輩の腕に包まれていた。
「寂しいなら素直にそう言えよ。
ばか。」
声が、今までよりずっと、ずっと近くにきこえる。
あったかい...。
このまま、ずっと...
離れたくない。
私も、先輩のこと、抱きしめてあげたくて、
ぎゅーとするけど、上手く届かなくて。
それが、じれったい。
私は、すごくあったかいけど、先輩は同じように感じてるの...?
離れたくないって、思ってくれてるのかな。
私の気持ちが全部伝わるなら、なんだってするのに。
どうしてこんなに切ないんだろう。
「先輩...ごめんなさい。
好き...、好きでずっと...私...。」
涙が溢れてくる...。
「ほんとうは、先輩のこと、傷つけたくなんて、なかったのにっ...。」
いくら謝っても、一度先輩に言ってしまったことは消えないから。
こうやって、何度も何度も...。
「俺だって、こんなにお前のこと傷つけたくなんてなかったよ。
ごめんな。」
先輩の声が、優しくて。
また泣いてしまう...。
ゆっくりと、胸の中が満たされていく気がする。
さっきとは、また違う。
本当の言葉。
それを、言うことができて、分かってくれて、嬉しかった。
「すみません。もう大丈夫ですよ。」
「もう大丈夫なのか。
それはそれで惜しいな。」
「先輩、まだ寂しいんですか?」
「べつに...
お前はこれからも俺の側にいるだろ。
今日帰っても、また明日も会える。」
「はい。」
明日も会える...か。
そうだよね。
先輩にはいつでも会えるんだ。
だからって、お互いのこと知らなくてもいいとかじゃなくて。
しばらく会えなくても平気とかじゃ決してなくて。
それは、先輩なりに私のためにまた強がってて。
自分にそう言い聞かせてるようにも思えて。
私も、それを分かってる。
こうやって、分かり合えた時が、また一歩好きになれるってことだから。
私は、やっぱり先輩のことが好き。
もう夕方だぞ。」
「...。」
「結野。
聞こえてないのか?」
「...。」
「起きないと...。
俺、お前に...。」
「ん...。」
「...す、
するぞ。」
「え...?」
目が覚めると、先輩が私を近くで見つめていた。
「せ、先輩...近いです。」
「よかった、生きてたか。」
「生きてますよ。」
「あまりに安らかに寝てるから、三途の川でも渡ったのかと。」
「お花畑は見えました...。」
「おい。」
私が起き上がると、毛布がかけてあるのがわかった。
「この毛布...先輩の匂いがします。」
「かぐなよ。」
「これは...お花の匂いですかね...。
えっと、紫色のあのいい匂いがするお花...。」
「...ラベンダー?」
「そうです、その匂いです。
先輩、ラベンダーがお好きな花なんですか?」
「別に好きってわけじゃないけど。
小さい頃から何故かこの匂いの方が落ち着くっていうか...。」
「そうなんですか...。」
「嫌いか?この匂い。」
「いえいえ、とんでもない。
とっても好きですよ。
私の好きなお菓子の匂いです...。」
「お前は食い物ばっかだな。」
「えへへ。
最近ちょっと控えてましたから...。」
「...好きなら我慢しなくてもいいのに。」
「そんな無責任な。
もし、私がいっぱい食べちゃって、すごく太っちゃったらどうするんですか!
私のこと...嫌になっちゃうでしょう?」
「ならねえよ。」
「本当ですか...?」
「本当だよ。」
そうはいってもね...。
「まあ...少しぐらい、頑張ったあとのご褒美ぐらいならいいんじゃないか?
俺みたいに極度に差があると、後々苦しいぞ。」
「先輩...ストレスあるといっぱい食べちゃうんでしたっけ。
昨日とかは大丈夫でした...?」
「大丈夫。」
本当かな...。
それこそ心配だな。
「先輩、何か辛いことあったら、いつでも言ってくださいね?」
「お前もな。」
「はい。」
先輩のこと、私がちゃんと見ててあげなくちゃな...。
意外と先輩は、悲しいこととかあっても言わないかもしれないから。
強がっちゃうところ...あるから...。
「あの、昨日は私、やっぱり自分勝手だったなって思います。
先輩たちは学校の皆のことを考えていたのに...。
私だけ自分のことだけで...。」
「いや...。
お前の言いたいことも分かるよ。
俺だって、なるべく2人で好きなことしたいのは同じだから。
今思えば全部お前の言う通りな気もするよ。」
「先輩、それは...。」
「今回のことは決まったことだから仕方ないにしても、今後の活動に関しては確かに、会長たちに俺たちの気持ちもはっきり伝えた方がいいと思う。」
先輩...。
私のことちゃんと考えてはくれていたんだな...。
思えば、昨日も...先輩は言おうとしてた。
今年は、私と一緒にいたいってこと...。
「お前は、それでいい?」
「はい、私も...一緒に言っていいですか?
その方が、皆分かってくれるかなって。」
「...ああ。
ありがとう。」
こうして、先輩とのわだかまりは完全に溶けた。
こんなに、すっきりするんなら、もっと前から先輩とこうやって確認しておけば良かったな。
先輩も同じ気持ちかな...。
私と一緒にいたいって、思ってくれてるのかな...。
そうやっているうちに、もう空が赤く染まってきた。
昨日より、色がはっきり、そして綺麗に見える。
もう...今日はお別れの時間...。
「先輩、私、もうそろそろ帰りますね。
今日はありがとうございました。」
「ああ。」
私はかけられていた毛布をたたんで置いてから、立ち上がって先輩にお礼を言った。
あ...。
先輩の顔...夕焼けの光に照らされて...。
綺麗...だな。
こういうとき、的確で詩的な言葉が思いつかないのが、私の頭の惜しいところだと思うけど。
あ...。
先輩...。
やっぱり、私...。
なんで...。
どうしてなの...?
...。
こんなに近くにいるはずなのに、
どうしてこういうとき、ずっと遠くの人だと思ってしまうんだろう。
先輩だって、私のこと想ってくれているはずなのに。
何回も、確認してるのに。
お互いに、ずっと、
好きだ
って...。
「せんぱ...。」
言いかけたけど、もうそれ以上は...。
この夕焼けに焦されたように切ない想いを、
どうしても、彼に伝えられなかった。
「...。」
「なんだよ、そんなに悲しそうな顔して。」
先輩...。
「家まで送ってくよ。
もう遅いし、お前1人だと心配だから。」
「先輩...。」
うん...。
そうなんだけど...。
まだちょっとは...一緒にいれるけど...。
家に帰ったらまた...。
せっかく仲直りしたのに...。
寂しく、なっちゃう。。
先輩はそんな気持ちの私をよそに、さっさと玄関の方に行ってしまう。
先輩は、どうして、こんなに落ち着いてるんだろう。
私とは...違う、の...?
やっぱり昨日もそうだけど、
私だけ、
こうやって空回りする。
また、しょうもなく、子どもみたいに、
拗ねたりしたら、いけないんだ...。
我慢、しなきゃ...。
私も、重い足取りで、玄関に向かう。
「遅い。」
「すみません...。」
「...急に俺の家に行きたいってわがまま言い出したかと思えば、今になって我慢するなんて、
そんなの、馬鹿がすることだぞ。」
「が、まんなんて...して、ません...。」
「そうか。」
先輩はそうやって私を冷たくあしらった。
それで...もう...。
あ...、
先輩、
行っちゃう...。
、
「なんて、
俺が何もなく外に出るかと思ったか。」
、、、。
気づいたら、私は先輩の腕に包まれていた。
「寂しいなら素直にそう言えよ。
ばか。」
声が、今までよりずっと、ずっと近くにきこえる。
あったかい...。
このまま、ずっと...
離れたくない。
私も、先輩のこと、抱きしめてあげたくて、
ぎゅーとするけど、上手く届かなくて。
それが、じれったい。
私は、すごくあったかいけど、先輩は同じように感じてるの...?
離れたくないって、思ってくれてるのかな。
私の気持ちが全部伝わるなら、なんだってするのに。
どうしてこんなに切ないんだろう。
「先輩...ごめんなさい。
好き...、好きでずっと...私...。」
涙が溢れてくる...。
「ほんとうは、先輩のこと、傷つけたくなんて、なかったのにっ...。」
いくら謝っても、一度先輩に言ってしまったことは消えないから。
こうやって、何度も何度も...。
「俺だって、こんなにお前のこと傷つけたくなんてなかったよ。
ごめんな。」
先輩の声が、優しくて。
また泣いてしまう...。
ゆっくりと、胸の中が満たされていく気がする。
さっきとは、また違う。
本当の言葉。
それを、言うことができて、分かってくれて、嬉しかった。
「すみません。もう大丈夫ですよ。」
「もう大丈夫なのか。
それはそれで惜しいな。」
「先輩、まだ寂しいんですか?」
「べつに...
お前はこれからも俺の側にいるだろ。
今日帰っても、また明日も会える。」
「はい。」
明日も会える...か。
そうだよね。
先輩にはいつでも会えるんだ。
だからって、お互いのこと知らなくてもいいとかじゃなくて。
しばらく会えなくても平気とかじゃ決してなくて。
それは、先輩なりに私のためにまた強がってて。
自分にそう言い聞かせてるようにも思えて。
私も、それを分かってる。
こうやって、分かり合えた時が、また一歩好きになれるってことだから。
私は、やっぱり先輩のことが好き。

