お前が好きだなんて俺はバカだな

「おじゃましまーす...。」

先輩の家は、マンションの一室だった。

中は、一人暮らしにしては意外と広い気がする。

リビング、キッチンがあって、寝室は別室にあるようだ。

「あんまり覗くなよそっち。
片付いてないから。」

と、先輩が釘を差すから、逆に気になってしまう。

見た感じ、部屋の手前には学習机と本棚が置いてあって、本は...、難しい本が置いてある。
漫画とか何もない。

部屋の奥には小さめのベッドがある。

ベッドの下とか...。

そういうの、あるのかな...?

ちょっとだけ...気になっちゃう...。

ベッドに近づいて、下を覗こうと屈む...
と、

「おい、こら。」

先輩に見つかって、肩を掴まれてしまった。

「何をしてるんだ?」

「何かあるのか気になって...。」

「別に何もないけど、ほら。」

「ほんとだ...。」

「そんな場所には何も隠してないぞ。」

「むぅ...。
隠すって何をですか。」

「...まあ、お前に過度にいい人ぶっても仕方ないよな。」

「え?」

先輩は、まだしゃがんでいる私に目線を合わせるように、膝をついた。

そして、先輩の指が、私の頬にそっと触れる。

...くすぐったい。

これって...、どういう状況...?

気まずい間のあと、先輩が告げる。

「男はみんな、ケダモノなんだよ。」

...。

先輩...?

...!?

むぎゅっ。

「いたたた...。
先輩、ほっぺた引っ張るのやめてください...。」

「よく伸びるなー、これ。」

「もー。
先輩、何を考えてるんですかっ!」

「ごめんごめん。
別に今日は何もしないよ。」

「今日は...?」

先輩は、手を離して立ち上がる。

「とりあえず、他の男には気をつけろよ。
お前は意外と狙われやすいから。」

「えー...、そうですかね?」

「そうだ。いい加減自分のこと自覚しろよばか。」

「自分のことってなんですか...?」

先輩は私を見つめるのに、何故か遠い目をする。

「お前...本当にばかだな。」

なんでそんなに愚かなものを見る目を...。

「とりあえず、茶が冷めるから早くこっちこいよ。」

「お茶淹れてくれたんですか...?」

「ああ。
お菓子もあるぞ。」

「やったー。」

よくわからないけど、お茶にお菓子はありがたいな...。