イツキが合宿から帰ってきた。

「ねーちゃんただいま、
...って、なんか暗くない?」

「別に...。」

「あ、分かった。
美礼さんと喧嘩したんでしょ。」

「...。」

「やっぱり図星だ。
また喧嘩かよ。」

「だって、せっかくの夏休みなのに先輩が生徒会の仕事引き受けたりするから。」

「へえ。それでデート行けなくなっちゃったの?」

「そう。
夏休みなのに、生徒指導するんだって。」

「先生とかの仕事じゃないの、それ。」

「本当、私もそう思うのに、生徒会がやらなきゃダメなんだって。
先輩は可愛い会長の言うことならなんでもきいちゃうから、言いなりになってるの。」

「姉ちゃん、その会長に嫉妬してるんだ。」

「別に嫉妬じゃないけど...。
でも、あまりにも度がすぎるから。
あっちは中学から一緒だから、色々自慢してくるの。
挙句の果てには、お前と話してると疲れるだって。会長と話してる方がよっぽどいいんだってさ。」

「ふーん。
まあ、確かに姉ちゃんと話すの疲れるかもね。」

「疲れる女で悪かったわね。」

「冗談だよ。でも、確かに一緒にいた自慢は辛辣だよな...。」

「でしょ。
中学のころ、会長のこと先輩が助けてたんだってさ。
まあ、確かにあの2人ならお似合いなんじゃない?
私なんかよりずっと可愛いし、お互いに頭もいいし。」

「...その会長さんは、姉ちゃんと美礼さんが付き合ってること知ってるの?」

「副会長に前きいたら、生徒会の皆全員知ってるって言ってたよ。」

「だとしたらさ...。知ってて仕事任せてくるって、会長って人なんかあやしくない?」

「あやしいって...いやいや、そんなことないでしょ。副会長も違うって言ってたし。」

「本当かな?
だって、その人、美礼さんに助けられたんでしょ。話きいてると、ずっと一緒にいるみたいだし、その気があってもおかしくないよ。」

「そんなわけないでしょ。
さ、ご飯作るから着替えてきて。」

「うん。」

でも...。

実際、どうなんだろう...。

違うとも、言い切れない。

だって、

惚れるとか...イケメンとか...。

ふざけて言ってたようだったけど、実際心の中がどうなってるかなんて分からない。

だとしたら、私...。

勝てる気...しないな。