「あの...。副会長。」

「...?」

私は、なんだかいてもたってもいられなくて、会長の双子の兄でもあり、副会長でもある加持誠先輩に廊下で話しかけた。

「会長のことなんですけど、最近変わった様子とかありませんでした?」

「いつも通り通常運転で暴走してますけど。」

「そ、そうですか...。
あの...それじゃあ...美礼先輩と会長って...。
いつからお知り合いなんですか?」

「僕たちが遠谷くんと出会ったのは中学生のときです。」

「出身校...同じなんですか?」

「はい。
言ってませんでしたか?」

そんなに前から...。

「じゃあ、その時から、みなさん仲良かったんですね。」

「まあ、可もなく不可もなくといったところでしょうね。
...それが何か?」

「あ...いえ。」

「じゃあ、僕はこれで。」

と、去ろうとする副会長...。

「あの。」

「はい?」

「あの...会長は...美礼先輩のこと、どう思ってるんでしょうか。」

「...それを僕にきかれても...。
会長に直接きいてみては?」

う...。

やっぱりそうなっちゃうよね...。

「まあ、でも、美咲さんと遠谷くんが交際していることは皆知っていますよ。」

「え?」

そ、そうなの...?

私は言ってないし、先輩が話したとかでもなさそうだし...。

「ですので今のところ心配は無用だと思います。たしかに、白夜は遠谷くんがお気に入りのようですが、それは生徒会の一員として、大袈裟に言っても、友達としてでしょう。」

「友達として...ですか。」

「会長は誰にでも分け隔てなく接する、いわゆるフレンドリーな性格です。
それを気にする方も多いのも事実ですが。」

「す、すみません...。」

「いえ。
それに普段の遠谷くんのような人はああいう類いからすると取っ付きやすいのでしょうね。彼も基本は親切でオープンな性格ですから。」

「確かに...そうですね。普段はですけど。」

「そういうわけなので、僕は失礼させていただきます。噂の本人も先ほどからこちらを気にしているようですし。」

え?

周りをキョロキョロと見回すと、先輩が物陰から姿を表した。

「話...終わったのか?」

「先輩!
いるなら言ってくださいよ。」

「俺も声かけようと思ったけど、副会長呼び止めるのに必死みたいだったから。」

「いや...それは。
ちょっと用事があったので...。」

って、やっぱり内容きかれちゃってるかな...?

副会長からも説明してもらおうと振り返るも、

...もういないし。

「俺、もう帰るけど、結野はどうする?」

「い、一緒に帰ります。」

あれ...いつもと同じ感じだな...。

もっと機嫌が変わったりするかなと思ったけど。