放課後、玄関付近で先輩が待っていてくれた。

のだが、今は気分が優れない。

「先輩...。」

「どうした、具合悪いのか?」

「明日、英語の抜き打ち小テストなんじゃないかって皆、噂してるんですよ。」

「...それがなんだよ。」

「経験ありませんか。
地獄の小テスト期間...。
普段は優しいあの女の先生が、突然鬼と化すんですって...。
毎年この時期になると、抜き打ちで小テストをして、100点とれなかったら、藁半紙20枚以上の書き取り...100点取れるまでそれが続くんです。」

「へえ...。俺は抜き打ちなんてされても何も怖くないけど。
基準がよく分からない現代文とかならまだしも、英語なんて楽勝だろ。」

「先輩とは頭の作りが違うんですよ...。
範囲だって指定されていませんし...。」

「ふーん。そりゃ大変だな。」

「そんな他人事みたいに...。
もし、ペナルティ課題が出たら、先輩と過ごす時間だって少なくなっちゃうんですよ?」

「俺はそんなお前を横から応援してるよ。」

「そんな...。せめて手伝ってくださいよ...。

...せめて過去問が手に入れば、傾向が似てるようなので対策できるそうなんですが...。
高額で取引されてるって言いますし...。」

「高額って...。
どこまで必死なんだよ。」

「先輩...なんとかなりませんか?」

「抜き打ちって、対策されないような対策だろ。何かやったって無駄だ。」

「そんな...。
じゃあ、先輩は2度と私とデートできなくなってもいいんですか。」

「小テストぐらいで大袈裟だな。
じゃあ、今から図書館でも行って勉強しろ。」

「勉強しろって...先輩は来ないんですか?」

「イエス。」

えー...。