お前が好きだなんて俺はバカだな

会社では遠谷課長。

家では美礼くんか...。

その前は美礼さんで、元は先輩だったっけ...。

なんか、切り替え難しいな。

でも、それでも、

最初から彼に馴れ馴れしく接していた人がいた。

美礼。

今、ばったり会って私の前にいる女の人は、彼のことをそう呼んでいた。

私がかつて、嫉妬して、恨んだ人。

敵わないんじゃないかって、泣いた人...。

もう彼女は時効だと思っているらしい。

目が合うと気にせず私に話しかけた。

「久しぶり。」

「加持先輩。お久しぶりです。」

彼女は、高校時代と違って髪を伸ばしており、化粧などして変わっていたが、その端麗な出で立ちや声からすぐにわかった。

「この春からキャンパスが移動になったの。だからここを通ってる。」

どうやら、彼女はまだ大学か何かに通っているらしい。

でも、彼女の方がいまだ私よりも格上なように見えた。

見下しているようにさえ。

彼女はあのときからもう振り切ったと思っていたのに。

また2人きりで彼と会うなんてことがあるのだろうか。

でも、あえてそこに突っ込むのも、大人気がないような気がして嫌だった。

だから、このときは表面的に話などを交わしていたのに。