お前が好きだなんて俺はバカだな

「あれ、姉さん帰ってきてたんだ。」

「うん。たまには顔出さなきゃでしょ?」

「いいよ。そのまま向こうでずっと同棲しててくれても。」

「えー?」

「休日なのにいいの?美礼さんの元にいなくて。」

「美礼さんだけ今日は出社なの。
だから、たまには弟の様子見てこいって。」

「へぇ。あの人もまめだよね。
それと、ちょっと見ない間に結構仲良くなってる気がする。」

「そう?」

「うん。もうすっかり奥さんって感じ。」

「奥さっ!?」

「うん、妻。」

「そ、それはちょっと気が早いんじゃ...。」

「そう?
結婚する気ない?」

「そういうわけじゃないけど...。まだ付き合って日が浅いんだよ...?」

「日数なんてあんまり関係ないよ。
出会ってすぐ電撃結婚なんてテレビでよく言われてるじゃん。」

「テレビではでしょ。
そんなの実際はあんまりないと思うよ。」

「ここまできたらもう欲望のままに突き進んじゃったほうが早いよ。幸せを掴むならね。」

「...あんた、前まで美礼さんと一緒にいても幸せになれないとか言ってたじゃない。」

「うん、今もそう思うよ。
だって、まず子どもできないから。」

「...。」

「それに持病持ちで身体や精神状態も良好とはいえない。
将来のことを考えると、姉さんの負担が増すばかりだ。」

「それは...。」

「これは遠い未来の話だと思うかもしれないけど、案外軽視できない話だよ。
ずっと美礼さんのお世話できる?
彼はまだ病気が治ってないんだ。
特に彼の精神状態に関しては姉さんも分かったでしょ。」

ああ、またこうやって...。

分かってる。

分かってるから...。

「でも、それでも姉さんは美礼さんと一緒にいることを選んだ。自分の選択は大事にね。」

「...うん。」