お前が好きだなんて俺はバカだな

「少し過去の話をしてもいいですか。」

って。

彼は特に動じることもなく、どうぞと言った。

「転校してしまった後は、どこにいたのかなって気になって。」

「実家にいました。」

「ご実家で...どんなことを...?」

「父親が亡くなってから、事業承継や遺産の相談を家の者としなければならなかったんです。」

「な、なるほど...。
すみません...なんかお話しし辛い話を...。」

「いえ。」

表情もなく淡々としているその目には冷たさまで感じる。

明らかに距離を遠ざけようとする意思だ。

でも、何故か今は臆する気もおきない。

「...こんなこと、今さらきくのも失礼でしょうけど、どうして私と別れようって思ったんですか。」

その冷たい目がもっと鋭くなるのを感じた。

分かってる。

それはきいちゃいけないってこと。

でも、今だからこそはっきりさせたい。

そう思ったから。

「強引に別れを告げたことは、今でも申し訳ないと思っています。
ですが理由としては、当時あなたにお伝えした通りです。」

「と、いいますと...?」

「あなたに対する気持ちが薄れてしまった。それが一番の理由です。」

「今もですか?」

「そうです。」

「そうですよね。ありがとうございます。
はっきりと分かってすっきりしました。」

これで確実にまた一歩前進できる。

でも、念のためもう一度確認しておこう。

私はなんだかんだいって心配症だから。