お前が好きだなんて俺はバカだな

放課後。

先輩が突然、廊下の隅で私を呼んだ。

「先輩、何やってるんですか?」

「何もしてない。
お前を待ってただけ。」

「こんなところでですか?
いつも玄関とかにいるのに。」

「こういう隅の方が落ち着くときもあるんだよ。」

「よく分かりませんけど...。
先輩、たまにすみっこでくらすこになりますよね。」

「うん。」

「何かありました?」

「何も。
何もないけど、少しだけ寂しい。」

「...。」

いつもと表情変わらないのにな。

でも、言動でなんとなく、先輩のことがまた少し分かっていくような気がした。

「寂しいなんて、先輩可愛いですね。」

「そうか。」

「そんなにクールに言われちゃうと、先輩が寂しいこと、あんまり伝わってきませんよ?」

「どうすればいい?」

「どうしたいです?」

先輩は、私の手をそっと握った。

先輩の手、いつもひんやりしてる。

「とりあえず、もう帰らなきゃ。」

独り言みたいに先輩はそうつぶやく。

「先輩。
今日は、先輩の家で料理作ってあげましょうか?」

「ありがたいけど、お前の家には家族がいるだろ。」

「そんなこと、気にしなくていいんですよ。寂しいときは頼ってください。」

「んー...どうしようかな。」

少しずつ、手が離れる。

「やっぱり少しは、強がってみせる。」

「先輩はおバカさんですね。」

「うん。」

本当にこの人、何がしたいんだろうな。

今度は、夕陽を背に、はきはきと歩き出したりして。

こんな風に突き放されても、もう悪い気はしない。

ただ、先輩自身はそれでいいのかな。