母が気を遣ってお茶を淹れて運んできてくれた。

私も前先輩を迎え入れたときは、お茶淹れたけど、こんなに美味しそうにはできなかったな...。

それに、手作りのお菓子もやっぱり美味しそう...。

でも...。

先輩は...大丈夫かな...。

私は...家族になってくれる人がいて幸せだけど、先輩は...。

だめだめ。

今は先輩と会えてお話しできることが嬉しいってことだけ、伝えなくちゃいけないんだから。

「先輩、会えて嬉しいです!」

「ずっとメールに会いたいだの書いてたもんな。」

「はい。留守電にも入れました。」

「はぁ...恐ろしいな。」

「先輩のおかげですよ。」

「...。」

ごめんなさい、先輩...。

「先輩...ぎゅってしましょう...?」

「ここお前ん家だろ。母親だっているんだし。」

「いいじゃないですか。鍵閉めましたから、見られませんよ?」

「なに勝手に密室にしてんだよ。」

「嫌ならちゃんと抵抗してくださいね?」

「ばか...。
抵抗なんて、するわけないだろ...。」

...ぎゅっ。

「先輩、あったかいです...。」

「...なあ。」

「はい。」

「...ありがとう。」

「どういたしまして。」

「やっぱり...好きだ。」

「私も...大好きです。」

「こんなん...お前の部屋で言うの恥ずかしいんだからな。」

「いいじゃないですか。減るものじゃないんですし。」

「そうやっていつも口だけ達者になりやがって。」

「先輩だって...。」

「...この前はごめん。あんな言い方することなかったよな。」

「ほんとですよ。もぅ...。
私の大好きな人は先輩だけなんですからね。」

「...そいつは光栄だな。」

「でしょう?(^^)」

「...なあ、もう少しだけ...。」

「好きなだけぎゅっとしましょう。
ここで。」

...。

「...
やっぱり気まずいなここ...。」

「なんでですか。」

「だってずっとここ、ぬいぐるみに見られてるから...。」

「くまさんかわいいじゃないですか。」

「それならまだマシだけど...この、キモウサもずっとこっちを...。」

「こらぁ...。(笑)」

エセラビちゃんはときに縁結びとは逆効果だったりもするみたい...。

でも...。

私が顔をあげると、先輩が笑ってる。

「なんだよ。」

「先輩やっと笑ってくれましたね。」

「だって...こんなの見たら笑うだろ。」

「こんなのって...w」

「...やばっ...、ツボに入りそう...。」

「先輩...。」

一瞬、先輩の目が潤んでいた気がする。

でも、また先輩の胸に顔を埋められてぎゅっとされたから、よく分からなかった。

私は力いっぱい先輩にぎゅっと仕返した。

先輩が大きく息を吸って、

ため息をついた。

ずっと、甘いラベンダーの香りがしていた。