つん。

と、私のおでこが指で弾かれた。

「いたっ...先輩、何するんですか...。」

「そんなに力むなよ。」

「だって...緊張するからっ...。」

焦る私に、先輩は、笑いかけた。

「ばーか。」

「...。」

先輩...私のこと、嫌いじゃないんだ...。

だって、こんなに私を小馬鹿にしてくれるんだから。

「なんですか、もぅ...。
私にキスして欲しくないんですか?」

「お前に再びそんな度胸が芽生えるんならありがたいんだけどな。」

「先輩が急にやめさせるからですよ。
せっかくその気だったのに...。」

「ほんとかよ。」

「本当です!」

「ふーん。」

「なんですかもぅ、その態度...。」

「気付けよ、冗談だよ。
もうそんな無理させないから。」

冗談...だったんだ...。

「なんだよ、つれない顔だな。
そんなに俺としたかった?」

「先輩みたいな意地悪な人とキスなんて2度とお断りです。」

「へぇ...言ってくれるじゃねえか。」

「べーっ、だ!」

「...このお調子もの。」

「きゃ!
デコピンしないでください!暴力反対!」

「うるさい、ばーか。」

「ばかは先輩です!
先輩の意地悪!」

「んだと
...この、やろっ」

グッと先輩の腕が私の頭を掴む。

「せんぱ...」