お前が好きだなんて俺はバカだな

廊下を歩いていると、どことなく声がする。

どこにいるかわからないけど。

今まであまり気にしてこなかった、私を見る目。

心ない噂話。

先輩は私に生徒会を辞めさせられた...。

私が...会長から先輩を奪うために...。

あながち間違ってはいないかもしれない。

私はそうまでしても先輩がほしかったんだから。

先輩には、私だけを見ていてほしかった。

他の女のことなんて、考えてほしくない。

「あ...。」

「久しぶりだね、美礼くんの彼女さん。」

「東條...さん。」

「大丈夫?
ずいぶん元気ないみたいだけど。」

「大丈夫です。」

「ほんとに?
昨日、生徒会長にあれだけ火花散らしてたのに?」

「...。」

「案外見られてるんだよ。
それでみんな噂してんのさ。」

「...。」

「ばかな話だよねぇ。
悪者にされんのはいつも決まってるなんて。これも策略だったのかな。」

「私の...せいですから。」

「良いじゃん。中途半端に傷ついてるぐらいなら、開き直って、もっと悪くなりなよ。」

「...。」

「美礼くんがほしいんでしょ?
あの女に渡したくないんでしょ。」

「...。」

「なら簡単な話だよ。
君も見せつけてやればいいのさ。
私だけのものだって...。」

東條イルマはそういって、なにごともなかったかのように私とすれちがい、歩いていった。