お前が好きだなんて俺はバカだな

...。

今日、雨か...。

私は授業中、ぼーっと雨音のする、外を眺めていた。

なんだかしみじみくるなぁ...。

あのときも、こんな雨の中だった。

息を切らして走り続けて、ぬかるみの中転んで、それでも立ち上がって、やっと着いた時にはもう...。

どうして私、こんな時に思い出しちゃうんだろう。

なにも...きくことができなかったって...。

小さい頃は、そのことが受け入れなくて、何度も何度も泣いて...。

何度も擦り切れるくらい指でなぞったように、記憶が色褪せていって。

それがまた、ぼぅっと浮かび上がって...。

だから私、こんなに暗い性格になっちゃったんだろうな。

ふとしたところで、母の面影が見えることがある。

弟たちの表情も、前よりずっと大人っぽくなった。

それに、何故か先輩のあの優しい顔を見ると、病室で一生懸命に笑ってた母の姿を思い出す。

母は、私に一度も弱音を吐いたことがなかった。

いつも、よく来てくれたね、ありがとうって言ってくれて。

辛いはずなのに、苦しいはずなのに。

お母さんだって、寂しかったはずなのに。

「美咲。」

「あ、はい。」

「何度も呼んでいるんだが、きこえないのか。」

「す、すみません...。
えっと...何でしたっけ?」

「...演習2問3の答えだ。
順番で回っているんだから、普通分かるだろう。」

「すみません...。
えっと...。」

「もういい。どうせやっていないんだろう。問題解く時間もずっとぼーっとしていたからな。授業態度には気をつけなさい。」

「はい...。」

なんだか...嫌な気持ち...。

あの日と同じ、あのぬかるみにハマっていくいくみたいで。