お前が好きだなんて俺はバカだな

「そうか...。
それは良かったな。」

先輩に、昨日の出来事を話した。

「実際会うまでは心配もありますけど。」

「大丈夫じゃないか?
なんたって大人だから。」

「はい...。
でも、娘としてはやっぱり複雑な気持ちもあるというか...。」

「受け入れられそうにないのか?」

「え...いえ、そういうわけじゃないんです。
えっと...もし上手くいかなかったら...。」

「お前自身が?」

「はい...。
気に入ってもらえなかったら、どうしようって...。」

「それは余計な心配だよ。
相手だって、お前たちがいるって分かって、それでもいいって思っているわけだろう?」

「それはそうですけど...。」

「気に入られるか、られないかっていうのはいかにも他人行儀だな。
家族っていうものは、そういうものじゃないんだよ。」

そうなのかな...。

「元々、お前の父親、母親、兄弟...。
両親はそうだとしても、自分で選んだから一緒にいるわけじゃないだろ。」

「はい。」

「良くも悪くも、そういうものなんだから。心配する必要はないってことだ。」

そっか...。

「そうですよね。
私が不安なままじゃ、お父さんも安心してお付き合いできないですよね。」

「うん。
俺がこんなこというのも場違いかもしれないけど。」

「いえ。先輩に相談してよかったです。」

「そりゃあどうも。」

「先輩...なんかもう大人って感じですね。」

「...ま、昔なら15にもなれば大人扱いだったってきくしな。
いつまでも未成年の立場に甘んじてもいけないんじゃないかとは思ってるよ。」

...昨日の私の慌てぶりはなんだったんだろう。

「私もはやく大人になりたいです。」

「お前はもう少し子どもでもいいんじゃないか?」

「え、どうしてですか?」

「背伸びしすぎだよ。
母親にとってかわろうだなんて。」

先輩...。

「無理に変わろうとなんてしなくていい。
特に、俺の前ではな。」

あ...。

私の顎が、先輩の指で持ち上がる。

「...ひゃっ」

「おれに、甘えてみろよ...。」

そ...

そんなこと、いわれてもっ...。

か、
顔が...。

ちかっ...。

...。

「なんてな。」

「...。」

コツン。

と、おでこをくっつけられた。

「なんだよ、その顔。
なにか不満か?」

「...別に。」

先輩は愉快そうだ。

昨日まで疲れてたはずなのに。

「先輩のばか、ばか...。」

「すまんすまん。
ほら、ぎゅっとしてあげるから、おいで。」

「...。」

...あ、まえちゃう...。

「よしよし。いい子だな。」

だって...

好きなんだもん。