時々同期で飲みに行っていたあるときから、蓮司の雰囲気がどことなく変わったことに気がついた。

私と蓮司はYAMASE に就職して、配属先は違う営業所だった。

本社営業所に配属した彼を他の同期はとても羨ましがっていた。

本社の2階、3階には内勤の女性がたくさん勤務している。

蓮司は羨ましがる同期に

「お前たちとかわりたい」

と眉を潜め、心底嫌がっていた。
今は女に興味もないし、誰とも付き合うつもりなんてないんだと。

だから私は安心していた。
自分が彼の特別なんだと勘違いしたまま。

そんな蓮司が飲み過ぎた時にポツリと私にもらしたのだ。

「朝陽…俺…最近ちょっと変なんだ。

目で追っちゃうコがさ入社してきたんだ…。

接点もないからさ、ただひたすら見てるだけ。
でもそれだけで満足でさ、今はそれだけで十分なんだ。

笑っちゃうよな、今までたくさんコクられてきたけど自分から言ったこと1度もないんだ。

下手れだよな俺」

目の前が真っ暗になった。

彼は約束どおり私を絶対に好きにならない……現実を突きつけられてそれからしばらく全てを忘れるように仕事に没頭した。

蓮司の恋が実らないように祈りながら。