「朝陽のお袋さんがさ、大地の代わりになろうとして、仕事ばっかりで恋愛のひとつもしてくれないって俺の顔を見るたびにぼやきだしてさ。

それ聞いてすげーホッとした自分がいて。

なんだよ、側で見守るなんて無理じゃんって思ってさ。

大人になった朝陽、可愛くなりすぎててごめん、前に言ったこと撤回するから」

「えっ?」

「俺、大地の代わりにはなりたくないわ。
朝陽が望んでも朝陽の兄ちゃんにはなりたくない。

俺は朝陽と結婚したい。

朝陽とともに一緒に生きていきたい。

朝陽、俺大人の朝陽とイチから始めたくて、まどろっこしくお袋さんにお見合いたのんだんだ」

可笑しそうに笑いながら私の左手をとり、私の薬指にそっと口づけた。