「なぁ…アイツがあの晩泣いてた原因だろ…」

車に乗ってから無言だった私たちの沈黙を破ったのは柚月で、その横顔はムッとして怒っていた。

「…朝陽の昔の男なんだろ?
友達ぶっていけすかねぇ奴。
イケメンだし…。まぁ、アイツより俺のほうが全然イケメンだけどなっ!」

とふんっと鼻をならした。
ヤキモチを妬いてくれてる…?
そんな口ぶりの柚月に私の胸はきゅんとした。

今日の私はどこかおかしい。

強引で甘い柚月はいつもと変わらないはずなのに、私はいちいち彼の言動に過剰に反応してしまう。

意識してる…。

蓮司と会って改めて柚月の自分の中の存在の大きさに気づき、それでも私は完全には素直になれきれない。