『結婚しよう』
そんな言葉はこの2年毎日のように口説く柚月の口癖だった。

『好き』
初めて柚月が口にした言葉が正直とても嬉しかった。

引き寄せられた柚月の腰に回る腕に、二人が見ているのに頬が紅くなるのをどうにも止めることはできなかった。

恥ずかしくてうつむく私の視界のすみに、嬉しそうに微笑む蓮司が見えて余計にカーっと顔が熱をもつ。

「そうですね。
俺が心配する必要ないみたいですね。
明莉と近いうちに新田さんのお店に食事に伺います。
お店の名前を教えてください」

「T市にあります "chaoyang" です。是非いらしてください」

「Chaoyang…」

そう呟いた蓮司が明莉ちゃんと顔を見合わせて、明莉ちゃんはくすりと笑い、蓮司はおもいっきり破顔して吹き出した。

「ぷはっっ!!
Chaoyang …ですね。
必ず行きます。
すみません、デートを邪魔しちゃって。じゃあまた」

二人は私たちに頭を下げて明莉ちゃんは私に手を降り先に進んでいった。