「いやっっ! 何すんのよっ!」

力いっぱい突き飛ばしたはずなのに、びくともしなくて、思わずとった行動に、すぐに唇が外された。

「うっっ!いってぇっ!噛みつくなよ朝陽!」

顔をしかめて血が滲む唇をペロリと舐める彼は、不適に笑みをうかべ、私の隣に腰かけた。

「朝陽、俺と結婚しろよ」

もう一度唇をペロリと舐めると、私の肩を抱き寄せて耳元で

「結婚しよう、朝陽」

もう一度甘く囁き、私の耳をペロリと舐めて軽くあま噛みした。

「っっ!!」

声にならない悲鳴を上げて、飛び上がった私に

「お返しだ」

と耳元で囁くと、唇をもう一度素早く塞いで熱い舌が唇を舐め、微かな血の味が私の口内に広がっていく。