ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

「光の精霊たちよ、我の呼びかけに応えたのなら、ありったけの力を使い、目の前の光竜を断罪しろ!」
 
すると光竜の姿を取り囲むように、四つの魔法陣が姿を現した。そして俺は右腕を振り下ろす。

神の断罪(デウスコンビクシオン)!」
 
四つの魔法陣によって発動された神の断罪によって、光竜はその場から姿を消した。

しかし光竜が消えていく中で、ミカエルがオフィーリアに向かって手をかざしている事に気がついた。

「っ! オフィーリア!」
 
俺は直ぐに空中浮遊(レビテーション)の魔法を使って、オフィーリアの元へ飛んで行く。

そしてミカエルが放った光の光線は、俺がオフィーリアの前に立ったと同時に俺の体を貫いた。

「ぐっ!」
 
しかし俺は直ぐにオフィーリアの体を神の守りを使って覆った。

だからミカエルが放った光の光線は、神の守りにぶつかるとそのまま弾け飛んだ。

「ふっ……まさか身を挺してまで、死んだ人間を守るなんてな」

「うる……せぇよ。ほんと、タチ悪いぞ……お前は!」
 
貫かれた胸の辺りが、徐々に血色に染まり上がっていき、地面にはボタボタと血が流れ落ちる。

「大切な存在を守るために、身を挺する事のないが悪いって言うんだ?」

「いや、別に悪いとは言っていないだろう? むしろ君らしいと関心したところさ」

「そりゃ……どうも」
 
俺は右目に魔力を注いで、貫かれた部分に治癒魔法をかけて穴を塞いだ。

「さあ、まだやるって言うのかな?」

「ああ、とことんやって今日はお前の首を取ってやるさ」
 
そう言って俺は右目に魔力を注ぎ、本気を出すために七色のオーブたちを出現させる。

するとその七色のオーブを見たミカエルは、やれやれと息を吐くと降参するように両手をあげた。
 
その姿に俺は驚いて目を見張ったと同時に、俺は直ぐに声を荒げた。

「オフィーリアを狙っておきながら、その姿はどういうつもりだ! 俺にその首を差し出すどころか、自分からあっさり降参するのかよ!?」

「その通りだよ。さすがにその人たちを相手にするのは、今はちょっとタイミング的によろしくないんだ」

「……タイミングだと?」

「そう、だから取引をしよう」
 
ミカエルはウリエルへと視線を送ると小さく頷いて見せた。

その姿にウリエルも小さく頷くとミカエルの隣に立った。