ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

「――っ!」
 
俺は直ぐに右目に魔力を注いで、神の守りを張った。

しかしミカエルが手を振り下ろしたと同時に、俺に狙いを定めていた魔法陣は光の竜へと姿を変えた。

光竜の裁き(リュミエールジャッジメント)
 
光竜は大きく口を開くと、俺目掛けて咆哮を放った。
 
久々に鳥肌が立つくらいの魔力を感じた俺は、直ぐに神の守りを強化した。

しかし勢い良く光竜の咆哮を食らった神の守りには、直ぐに全域にヒビが広がった。

「な、なんつー力だ!」

「だってその魔法は元々、君が張っていた守護魔法を上書きして、私が作り上げた魔法なのだから、強力なのは当たり前さ」
 
俺はミカエルの言葉を聞き流しながら、直ぐに瞬間転移を使ってその場から移動しようとした。

しかし――

「良いのかな? そこから移動しても」

「っ!」
 
その言葉に俺は気がついた。そして表情を歪めて後ろを振り返る。

「……オフィーリア!」
 
そう、俺の後ろにはオフィーリアの体を包み込んでいる水晶の存在があったんだ。

あいつはそれを狙って、この位置に俺を移動させて強力な魔法を放った。

決して俺が動く事がないと知りながら。

「君がそこから移動してしまえば、この魔法は彼女に直撃してしまうよ? いくら氷の女神の氷結の力が働いているといっても、この威力の魔法では無事ですまないだろう」

「……お前!!」
 
それを知っていて、あえてこの場で俺を待っていたってわけか! 

本当に……殺したいほど嫌なヤツだな!

「さあ、どうするんだ? トト?」

「トトじぇねぇよ! ブラッドだ!」
 
どいつもこいつも……エアだとか、トトだとか……。

そんなのクソくらえだって前に言っただろが!
 
俺は右目にありったけの魔力を注いで、光竜に向かって手をかざす。