ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

「……そうだな。でも俺はお前が守護者だなんてぜってぇ認めねぇ!」
 
こんな奴らのところに魔剣が一本あることには、今後厄介な事になりかねない。

なんとかしてウリエルから魔剣を奪い返したいところだが、そう簡単には取らせてくれないよな。

「まあ、魔剣ライトニングの行方が分かっただけでも、君は収穫があったんじゃないのかな?」

「ああ、お前の言う通り収穫はあったさ。んで、今後どうやってライトニングを取り戻すかも、頭の中で考えているところだ。……しかしな、俺はもう一つ収穫しなといけない物があるんだ」
 
俺はそう言いながら七星剣を構えて、ミカエルに突っ込んだ。

「お前の首を収穫しないことには、このまま帰るわけには行かねぇんだよ!」

「ふっ、まあそうだろうね」
 
ミカエルは羽織っていたマントを脱ぎ捨てると、俺に向かって手を翳した。

「光の鎖(ライトチェン)」
 
地面から光の鎖が無数に顔を出すと俺目掛けて飛んでくる。

しかし俺は光の鎖たちを七星剣を使って斬り捨てて行く。

「はああ!」
 
斬り捨てられた光の鎖たちは、粉々に砕け散ると光の粒となって次々と消えて行く。

しかしその事は想定内だったのか、ミカエルはほくそ笑むと地面に向かって手を翳した。

「君が張った守護魔法を使わせてもらおう!」

「なに?!」
 
するとミカエルが手をかざした事によって、俺が張った守護魔法の魔法陣が姿を現した。

そして魔法陣に描かれている術式が、次々とミカエルによって書き換えられていく。

「そんな……!」
 
俺がここに張った守護魔法は中でも特別強力なものだ。

足を踏み入れただけで、跡形も残らずこの世から消える程の威力を持ち合わせている。

並大抵の人間じゃ絶対に突破出来ないものだ。

それだと言うのにあいつは、言葉だけで俺の魔法を上書きしているって言うのか?! 

「さあ、完成だ」
 
ミカエルによって上書きされた守護魔法は、地面から浮かび上がると俺に狙いを定めた。

「君にこの魔法が防げるかな?」