確か今のところ魔法協会が魔剣の行方について発表していたのは、魔剣サファイアと魔剣マールだけ。

しかし魔剣サファイアは、魔法協会が厳重に保管していて……。

「あれ……」
 
ちょっと待ちさない。何かおかしいわ。
 
ブラッドの話では、自分は彼女が成し遂げられなかった事を代わりに引き継いだと言っていた。

しかしそれは一体いつのこと?
 
最近? それとも数年前? 

いや、彼の見た目はおそらく二十代前半。

それにサファイアは彼女を知っているような感じだった。
 
本当ならサファイアはオフィーリアについては知らないはずだ。

サファイアはカレンが小さい頃に主と認めて、初めて外に出たのだから。

それまでブラッドと会う事だってなかったはずだ。
 
そして一番肝心なのが、ブラッドがカレンの先生だと言うところ。
 
カレンが魔剣を持ったのは十歳の頃で、その時からブラッドに数年の間は修行を見てもらっていたと過程しても、彼の見た目には違和感を感じる。
 
それともただの童顔だと言ってしまえばそれっきりだ。

しかし彼が言っていた、エアの末裔が彼女を除いて皆殺しにされた事と、道化師と呼ばれる存在が星の涙を狙っていたと言う事件は、ここ数年では聞いた事がなかった。
 
そもそも黒の魔法教団以外に怪しい集団組織があるなんて話しは、使い魔たちの間では流れていなかった。

となると道化師と呼ばれる存在は、少なくとも私が生まれるずっと前の事になる。

なら、彼はいったい……どこから来たと言うの? 

まさか過去からやって来た人間? 

いや……彼女以外に時を飛ぶ力を持った人間は存在しない。
 
だとしたら彼は……何百年と生き続けている人間?! 

とそんな考えが頭を過った時、ぶわっと全身の毛が逆だった。