ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

「あの人はちょっと言葉足らずなところがあるのかもしれないのですが、きっとアレスなら気づいてくれると信じていたと思うのですよ」

「エクレールさん……」
 
ブラッドさんは俺を信じてくれている。だったら俺のやるべき事は一つだ。

「エクレールさん。お願いがあります」

「はい、なんでしょう?」

「ブラッドさんが俺の事を信じてくれているなら、俺はその気持に応えたいです! でもあの人は直ぐには俺の事は認めてくれないと思います。それどころか、俺はあの人に一撃を与えることすら無理かもしれません。でも……それでも俺は前に進んでいきます。あの人に追いつけるように」
 
これは俺の覚悟だった。

ブラッドさんの言う通り、いつも仲間が側に居てくれるわけじゃない。いつか一人になって敵と戦う事だってある。
 
もしその時が訪れても、俺は大切な仲間を守るためにこの力を振るう。

絶対孤独になんてさせない。

辛い思いなんてさせない。

「俺まだまだ未熟で、あなたの力を使いこなす事は出来ません。でも俺はこの力を、大切な物を守る為に振るうとあなたに誓いました。だからエクレールさん、俺にあなたの力を貸してください!」

「はいなのですよ」

「えっ!」
 
即答されると思っていなかった俺は、びっくりして思わず声を上げてしまった。

そんな俺をエクレールさんはクスクス笑いながら見てきた。

「わたくしの主はあなたなのですよ。今更、断る必要なんてないのです。ですからわたくしとあなたで頑張って、ブラッドに一撃を当てましょう!」

「は、はい!」
 
いつあの人に追いつけるのかは分からない。

でも俺もいつか、あの人の側で支えて上げられる人になれたら良いと思っている。

ブラッドさんはもう孤独じゃないんだと、分かって欲しいんだ。

あなたの側には俺たちが居るって事に気づいて欲しいんだ。

「でしたら早速、特訓と行くのですよ」

「えっ、今からですか?!」
 
さ、流石にもう少し休憩させてほしいだけど……。