「それがさ……あの人俺より早起きなんだよ」

「う、うん」
　
それって普通のことなんじゃないの？　

確かアレスの起床時間って六時前後だったよね？　それより早起きって事は、まさか五時代にはもう起きてるとか？

「ブラッドさん、四時にはもう起きてるんだって」

「よ、四時？！」
　
さすがの私でもまだ眠と思う時間帯だ。で、でも何でそんな朝早く起きるの？！

「何で朝早く起きるんですか？　って聞いたらもう習慣になっちゃってるらしくて、もう四時頃には目が覚めるそうだ。だから俺たちの朝食を作ってくれたりするんだけど、その作ってくれた朝食が物凄く美味しくてさ！」
　
そう言ってアレスはなぜか瞳を輝かせると、師を尊敬する弟子の如く熱く語り始めた。

「やっぱりあの人の強さの秘訣って、そういうところからも来ているんだと思うんだよ！　きっと俺たちの知らないところでこっそり体も鍛えていたり、意識を集中させて魔力を高めたりしてるんだよ。それから――」
　
そこから約三十分くらい、私とテトはアレスからひたすらブラッドさんの話を聞かされることになった。

前にテトに【用心しなさいね】と言われた事を、すっかり忘れているのだろうか？

「はあ……」
　
ブラッドさんについて熱く語っているアレスを、目を細めてみながら私は紅茶をすすった。