ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

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誰よりも強くなる事を望み、強くなければ大切な人を守れない事を知っているあいつは、もう誰にも負ける事はないだろう。

だが、逆にそれはあいつを孤独として有り続けさせた。
 
アレスとブラッドの大きな差があるとすれば、おそらくそれは【覚悟】と【思い】だ。
 
アレスは大切な者を守るために、強くなる事を望んでいる。

それはブラッドも同じだった。
 
私の知っているあいつは、誰よりも強くなる事を望み、愛した人を守るために魔剣の力を手にして、もう一度オフィーリアと出会うために三百年も生き続ける覚悟を決めた奴だ。
 
正直、三百年も生き続けたら私でも精神がおかしくなりそうになる。

きっと抱えきれない程の【負の感情】と【孤独】に押しつぶされるだろう。

だって人は三百年も生きられないんだから。
 
だがあいつは、それらに負けることなくここまでやって来た。

しかし三百年生き続ける覚悟を決め、愛した女性を思いながら歩き続けたあいつは……孤独だ。

今のブラッドの周りには【仲間】と呼べる存在がいないんだ。

アルとレーツェルは仲間としてカウントすべき存在じゃない。

二人は魔剣であって故人であり、同じ時を共有する事は出来ない。

私たちの時は既に止まっているのだから。
 
逆にアレスにはカレンやソフィアたちが居てくれる。

頼れる存在が側に居てくれるんだ。

だからあいつは孤独ではなく自分では超えられない大きな壁にぶち当たったとしても、仲間に支えてもらう事で乗り越えようとする。