「みんなごめんな、中々決められなくて」

「全然気にすることないわよ。むしろ私的には、ソフィアが楽しんでくれているからオッケイよ」

「た、楽しんでるって……」
 
でも確かに言われてみれば、こうして街を歩くのは随分と久しぶりだったかもしれない。

こうしてアレスと再会していなかったら、私はきっと誰とも関わろうとしないで、ずっと一人で居ることを望んでいたと思う。

黒の魔法教団の事件後は、雫が不安定になってしまったせいでろくに魔法を使う事も出来ず、心配性なアレスからは行動を見張られていたし、ラスールでの事件もあって自分に取れる時間が中々作れなかった。
 
昨日だってエクレールさんと一緒に修行をしていたし、その疲れが溜まっていたのも事実だった。

だから昨日ブラッドさんから【三日の休日をやるから、みんなしっかり休んでくれ】と言われて、こうして休日を楽しんでいるところだけど。

今頃カレンとロキは何をしているんだろう?

「そう言えば、アレス。あなたの家に住み着いているブラッドさんの様子はどうなの?」

「住み着いているって……言い方」
 
アレスは苦笑しながら、目の前に置かれるアイスコーヒー一口飲むと口を開く。

「普通と言えば普通だし、普通じゃないと言えば普通じゃない?」

「……どういうこと?」
 
その言葉に私とテトは首を傾げた。

するとアレスの近くで、美味しそうにマカロンをチマチマと食べていたムニンが言う。

「あの人、家事全般こなすんだよ」

「……家事全般?」
 
えっ、いったいどういう意味?