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「はあ……はあ……はあ」

「どうした? もう終わりなのか?」
 
俺はエクレールさんの魔力を身にまといながら、この二ヶ月で会得した事の全てを出して、思いきりブラッドさんに斬りかかった。
 
しかし俺は思ったよりも早くばてた。
 
アルさんに言われた通り、エクレールさんの魔力を上手くコントロールしながら、必要な分の魔力だけを雫から引き出し刀身に注いだ。
 
でもいざ実践になると、俺の中では焦りが生まれてしまった。
 
アルさんと修行をしていた時は、エクレールさんの魔力を身にまとっても半日以上はまとえていた。

しかし今は、たった数十分しかまとえなかった。
 
それは相手がブラッドさんだからなのか、それとも俺の中で生まれた原因不明の焦りのせいなのか……。
 
どちらしろ俺を含める四人は、あっという間にブラッドさんに返り討ちにされてしまった。

しかも彼は、その場から一歩も動くことなくだ。

「はあ……全然だめだな」
 
ブラッドさんは深く溜め息を吐くと、身にまとっていた魔力を解いた。

「まず、ロキ。俺言ったよな? お前は高度な魔法ばかりを好んで扱うから、雫を上手くコントロールしないと直ぐにバテるぞって」

「は、はい……」

ロキは地面に寝そべりながら息を整えて口を開いた。
 
そんなロキをブラッドさんは見下ろしながら、口を開いて言葉を続ける。

「俺が修行を見てやっていた時は、ちゃんと出来ていた雫のコントロールが、今は全然出来ていないじゃないか。それに力み過ぎだ。力み過ぎているせいで、雫のコントロールがまるでなってない。だから早くバテるし、魔法も中途半端な威力になるんだ。そんなんじゃ、業火の魔道士という名が廃るぞ」

「す、すみません……」
 
容赦なく現状を叩きつけてくるブラッドさんは、今度はカレンへと視線を動かす。