「……っ」
 
涙を堪えたくても拭いたくてもそれが出来ない。

体に力を入れる事が出来ないから。

それはきっと、この胸元にある星の涙が影響しているんだと思った。
 
星の涙が粉々に砕け散った事により、私の命と繋がっていた糸はぷつりと断ち切られた。

そのせいで自由に体を動かすことが出来ず声を出す事も出来ないのだ。

「……っ」
 
息を吸って彼の名前を呼ぼうとしても、声が掠れて言葉にならない。

「……」
 
それが悔しくて、悲しくて、私は泣くことしか出来なかった。

「おやおや、これは驚きですね」

「っ!」
 
前方から声が聞こえた私は真っ直ぐ前を向いた。

そこには見覚えのない二人が立っていた。

一人は背中まである金髪を持ち、ニッコリと笑みを浮かべている人。

そしてその人の後ろに居る人は真っ赤な短髪を持ち、辺りを警戒しながら腰にある剣の柄に手を置いている。
 
その二人組に私は目を瞬かせた。
 
ここに人が来るのは初めてだったし、何よりどうしてここに来る事が出来たのだろうか? 

ブラッドが二人にここへ来るように言ったとも思えないし。

「まさか……死んでいなかったとは、オフィーリア様」

「っ!」
 
どうして私の名前を知っているの? この人たちはいったい……?

「申し遅れました。私は魔法協会大司教のミカエルと申します」
 
魔法協会大司教……ミカエル? 

確か魔法協会はブラッドが嫌っていた組織の人たちだったはずだ。

理由は聞いたことなかったけど、どうしてその魔法協会の人がこんなところに?

「しかし目が覚めたと言っても、この状態は一時の物でしょう。これでは直ぐにあなたはまた眠ってしまう」
 
ミカエルはそう言いながら、私の元へとやって来ようとする。

しかしその時、彼の足元に金色の魔法陣が浮かび上がった。