ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

彼女の言う通りアレスはきっと、初めて魔人族の血が馴染んだ人間だ。

蘇生の血で生き返る一パーセント以下の確率を彼は見事に手にして、そして自分では気づかないうちに、自分の血に流れている共振の魔力を、アレスは使いこなそうとしている。
　
だから俺は魔人王リヴァイバルと最も接点があったエクレールを、彼の主として選んだんだ。

彼女ならきっと、アレスの中に流れる共振の力を上手く引き出せると思ったからだ。

「あなたの目的のためにも、彼の血は最も欠かせない物ですわね」

「そうだ。アレスの血はこの世界ではとても貴重な物だ。おそらく、アレスと同じ血液型を持った人間なら、上手く適合すると思っている。だからいつか必ず狙われる事になる」
　
アレスの血が上手く適合出来た人間は、魔人族と同等の力を手にする事は出来なくても、魔人族に近い力を手にする事が出来る。

また上手く適合した人物と同じ血液型を持った人間に、その者の血を適合させれば、更にもう一人魔人族の力を手にした者が生まれる。
　
だからこそ、アレスの血の存在は魔法協会に知られるわけにはいかない。

特に……ミカエルの奴には。

「そのためにも、彼等には強くなってもらいたいと思っているのですか？　もしそうなのでしたら、それはあなたの目的にとって、障害になる物ではないのですか？」

「……」
　
その言葉に俺は目を細めて、じっとセイレーンを見つめる。

しかしセイレーンは、そんな俺の視線を気にする事なく言葉を続ける。