ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

だからあの世界では魔人族を我が物にしようと、数多くの人間族や他の種族たちが襲ってきた。

それを全てリヴァイバルは一人で、共振の力を使って追い返していた。
 
しかし蘇生の血を使って人が生き返る確立は、一パーセントにも満たないと言われる。

蘇生の血は本来、魔人族の血の中に流れる特別な魔力が、突然変異して出来上がった物だ。だからその血が死んだ者の血に馴染むことは、ほとんどないんだ。

……いや、絶対に有り得ないんだ。
 
魔人族の血と自分の血が混ざりあえば、雫は必ず拒絶反応を起こす。

自分の体に適合しない物と判断したものは、雫自身が抱えている魔力を使って、中から無理やり壊そうとする。
 
そう……この右目がクラウンによって埋め込まれた時も、俺の雫はこの目を適合しない物と判断して、壊そうと魔力を暴走させた。

しかし俺は何とか雫をコントロールして、自分の雫とこの目を一本の魔力の線で繋ぎ合わせた。

だからこうして無事に、右目は存在しているし上手く使いこなせている。

もしあの時失敗していたら、俺はこの場には居なかっただろう。

きっと、あの痛みに耐えられなくて自分から命を断っていたと思う。

「と言うことは、彼は魔人族の血に適合した、半魔人の半人間ってところですのね。ふふ……中々面白いではありませんか」
 
そう言ってセイレーンは、新たに観察対象を見つけたのか、瞳をキラキラと輝かせながらアレスを見ている。