ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

でもそんなミーアは、俺に強くして欲しいと志願して来た事がある。

強くなって、好きな人を守りたいと言ってな。

「ブラッド様。あなたのおかげで、ミーアはこうして大きく成長しました。今ではわたくしの付き人として、側に居てくれております。そして……」
 
セイレーンは頬を赤く染めると、ミーアの腕に自分の腕を回す。

そんな彼女に驚いたミーアも、顔を真っ赤にさせると口をパクパクさせた。

「わたくしたち……婚約しました」

「………………はあああ?!」
 
当然、その言葉に俺は声を上げた。

セイレーンとミーアが婚約した?! 

で、でもミーアの年齢的にも、そんな話が上がっても良い頃か……いやでも! 

よりにもよってセイレーンって! よくあの堅物頑固親父の頭を縦に振らせたな。

「ほ、本当に良いのか? ミーア」

「はい、俺は全然構いません。むしろ光栄だと思っています。小さい頃からずっと遠くから見る事しか出来なかったセイレーン様に、こうして仕える事が出来るだけでも嬉しいのに、まさか一生を添い遂げる相手になれるだなんて」

「い、いや……俺が聞いているのは、そういうことじゃなくて」
 
俺の言葉にミーアは首を傾げる。

ま、まあ……こいつが良いって思っているなら良いんだけどさ。

「ミーア……一応言っとくけど、そいつ見た目は若くても年は相当いっているんだぞ。お前だったら年の近い若い子でも――」
 
すると俺の頬をかすめるように、マールの刀身が鋭く横を通り過ぎた。