「アレス、ソフィア、ロキ、カレン。お前たちは間違いなく、二ヶ月前よりも強くなっている。いや、強くなっていてくれないと困る」
 
その言葉にブラッドさんの後ろに居る三人は同時に頷いた。

「ソフィア。お前はこの三人の中では特に修行が遅れていた。でもそれを気にすることはない」

「……ブラッドさん?」

「俺は魔人族じゃないから、共振の雫から力を引き出す方法は知らないし、共振の魔力がどれだけ危険で、恐ろしい物かも分からない。だがお前は、少しずつでもそれに向き合い力を引き出しながら、少しでも自分の物にしようとしてきた。それだけでもお前は、二ヶ月前の自分よりも大きく成長しているんだ」

「っ!」
 
ブラッドさんの言葉が私の中で大きく響いたと同時に、目尻に涙が溜まった。
 
自分の修行にブラッドさんが関わることは、ほとんどなかった。

でもブラッドさんは、ちゃんと私を見ていてくれたんだ。

「お前は俺に言った。【共振の力を使いこなしたい。もう守られるだけなんて嫌です】と。きっとこの二ヶ月の修行は、お前が言ったその言葉の力になってくれる。だから、もっと自信を持って前に進め。大丈夫だ。もし力に飲み込まれそうになっても、この場に居る全員が、お前の手を引いて、一緒に未来へ行ってくれる」

「……はい!」
 
ポロポロと頬に流れる涙を拭った私は、真っ直ぐブラッドさんを見ながら大きく頷いた。

そんな私をアレスたちは優しく見守ってくれていた。
 
ブラッドさんの言う通り、私は一人じゃない。

たとえ共振の力に飲み込まれそうになっても、隣にはみんなが居てくれる。

だから怖がることなんて……ないんだ。

「って、めちゃくちゃ良い事を言ったところで、これからお前たちは第二ステップの修行を始めてもらう」
 
そのブラッドさんの言葉に私たちは頷いた。