ブラッドさんに直々に修行をしてもらっていたロキは、ブラッドさんのおかげで雫のコントロールが上手く出来るようになったらしく、長時間での戦闘が出来るようになり、魔力も二ヶ月前に比べれば上がっていた。

カレンはサファイアさんとレーツェルさんに修行を見てもらいながら、魔剣サファイアなしでの戦闘スタイルを身に着けて、それを実践としてブラッドさんに試していた。

そのおかげもあって、サファイアは剣術以外にも体術や氷結魔法以外の魔法を、戦闘スタイルの中に組み込むことで、氷結の魔道士として更にパワーアップした。

本当にこの二ヶ月で三人は強くなったと思う。

だからきっと三人は、次の第二ステップに移る事が出来るはずだ。

きっと私は……。

私は両手に拳を作りながら力を込めて、顔を伏せて唇を噛んだ。

「そうだな……お前たちはこの二ヶ月で、本当に強くなったと思う。最初に出会った頃よりも、たくましくもなった。だがもし今この中に、【自分はまだ弱い】と思っている奴が居るんだったら、それは間違いだと思ってくれ」

「っ!」
 
その言葉に私は伏せていた顔を上げた。

そんな私に気づいたブラッドさんは、軽く笑みを浮かべた。

「修行としては二ヶ月なんて短い期間だ。そんな約六十日間しかない中で、直ぐに強くなれるなんて無理な話だ。どんなに才能のある奴だって難しいことさ。だが、俺は今ここで宣言させてもらう」
 
ブラッドさんはそう言うと、アレスに人差し指を向けた後に、その指先を順番に私たちへと移動させた。