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私服に着替えた私は、アレスに言われた集合場所へと向かっていた。

季節はそろそろ夏の終わりを告げようとしているけど、やっぱり外に出ると気温は高いのか、少し走るだけでも私の額にはじわりと汗がにじみ出た。

「もう夏が終わるって言うのに、どうしてこうも熱いのかしら……」
 
すると私の右肩に乗っている黒猫――テトは、物凄く暑そうにしながら小さな手を使って自分の顔を仰いでいた。

その拍子に首元に巻かれた赤いリボンはなびき、使い魔だと言うことを現す紋章が刻まれたブローチが小さく揺れ動く。
 
そんなテトを横目で見ながら、私は少し呆れて口を開いた。

「そうやって熱い熱いって言うから、熱く感じるんじゃないの? テトがそんな事言うせいで、私まで熱く感じてくるよ」

「あら、思った事を素直に口にして何が悪いって言うのかしら? それに熱いのは事実でしょ」
 
その言葉に【まあ……確かに】と思いながら、私はアレスたちが待っている場所へと向かう。

「ここ二ヶ月で、あの人たちに修行をつけてもらっているわけだけど、みんな強くなっているのかしらね?」

「……強くなってるんじゃないの?」
 
今からちょうど二ヶ月前。

私を含めるアレス、カレン、ロキは、ブラッドさんやエクレールさん達に修行を付け始めてもらった。