「ああ、そっくりだな。ブラッドもそうして、よく額に腫れを作っていた」
 
アルさんは昔を懐かしむように笑みを浮かべた。あのブラッドさんが額に腫れを作っていただなんて……想像が付かない。

「でもあいつは、生まれつき魔力が高かった事もあってか、直ぐに俺の力を長時間まとえるようになったんだ」

「あの……それって大体どのくらいですか?」

「……そうだな。一日まとえるようになったのが、約一週間で、三日間まとえるようになったのが一ヶ月、四日間ぶっ通しでまとえるようになったのが、一ヶ月と半月だ。二ヶ月経つ頃は、余裕で一週間はまとえるようになっていたし、いつの間にか俺の力も扱えるようになっていた」
 
そ、それ修行をしてからと言うよりか、ブラッドさんの才能を感じさせられるんですけど……。
 
でもブラッドさんがそんな短時間で魔剣の力を扱えるようにしたかったのは、きっとオフィーリアさんのためだったんだろう。

「アルさん。オフィーリアさんって、どんな人だったんですか?」

「知らん」
 
そんな質問を投げ掛けた瞬時に、アルさんの即答に俺は目を点にした。

そして少し遅れてから声を上げる。

「…………えっ?! 会った事ないんですか?!」

「……会ったことはある。だが、どんな人物だったのかと聞かれれば知らない」
 
い、いったいどういう事なんだろう?

「なぜ、オフィーリアについて俺に聞いてくる? 彼女について知りたいのなら、直接ブラッドに聞けば良いだろ」

「それは……」
 
俺は軽く顔を伏せた。