竜の島の事件から二ヶ月――
 
私とアレスたちは元の生活を送り始めていた。

でもやっぱり学校の方は授業再開の目途が取れていなくて、先週行われた魔道集会では生徒会からの報告で。

「授業が再開されるまで、まだ時間が掛かると言うことなので、生徒たちはこのまま自宅研修を続けて下さい。しかし、それでも授業をして欲しいという者は――」
 
私はその時に配られた【授業特別参加用紙】と言う名の、希望者だけが受けられる特別授業の用紙を見下ろしていた。
 
何でも紫雫の先輩たちが生徒会やそれぞれの先生たちに、【少しでも良いから授業をして欲しい】と言う声を上げたそうだ。

だから慌ててこんな紙が作られて、魔道集会でクラスごとに配られた。
 
当然、勉強することが何よりも大事な私にとってはとても嬉しい事だし、ぜひ参加させてほしいと思うところだ。
 
でも……今はそう言うわけには行かなかった。今の私には勉強よりもやるべき事があるからだ。
 
それにこの特別授業って具体的にはどの先生がこの授業をするよ、という説明をされていない。

最悪、一日目の授業がもしシュー先生が担当している科目だったら確実に自習だ。

シュー先生からしたら、【貴重な休みだって言うのに、何でお前たちの面倒を見ないといけないんだ?】的な事を言うに決まっている。

「はあ……」
 
そんな事を考えながら、私は重々しく溜め息を吐いて用紙を机の上にそっと置いた。