✭ ✭ ✭

部屋に戻った俺は窓を空けて、窓辺に座りながら星空を見上げていた。

「誕生日会か……」
 
とても懐かしいなと思いながら、俺はそっと目を瞑った。

「そういえば、昔はよく誕生日ってなったら、ミリィの家でパーティーとかやってたな」
 
記憶の中に楽しい思い出が流れていき、俺は目を開けて星空へと目を戻した。

「ごめんな……ミリィ、レオンハルト」

そう小さく呟いた時、嫌な記憶を思い出して俺は指先で左頬に触れた。

「正直、あのパンチは結構痛かったぞ……」
 
殴ってくれても構わないと言ったのは俺だから、仕方がないことなんだけどさ……。
 
そう思って苦笑していた時、ズボンのポケットに入っている携帯が勢い良くバイブレーションした。
 
なんだ? と思いながら携帯を取り出すと、画面に物凄く見覚えのある名前が出ている事に気づいた俺は顔を引きつらせた。

「おいおい……いったい何の用だよ」
 
俺は画面の左下にある、通話に出るボタンを右にスライドして電話に出る。

「は〜い、もしも〜し」
 
と棒読みで出た時、電話の向こうでクスクスと笑い声が聞こえた。

『あらまあ……出ては下さらないと思っていたのですが、その様子だと元気でやっていらっしゃるみたいですね』

その言葉に俺は軽く目を細めて、窓辺から離れてベッドに腰掛けた。

「そりゃまあな。んで、そんな俺の安否を確かめるために、わざわざ電話をして来たわけじゃないんだろ? 魚人族のセイレーンさん」

『……その言い方は失礼ではありませんこと? まるでわたくしが、あなたの心配を一ミリもしていないみたいじゃありませんか。しかしご安心くださいまし、今回はちゃんとあなたが生きているかどうか、という確認も含めて電話をしましたので』
 
本当かよ……。

イマイチ信じられないんだけど。