ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

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エクレールさんの話を聞いて、星の涙がどういうものなのかは大体わかった。

そのせいでオフィーリアさんを失った、ブラッドさんの気持ちも今なら分かる。
 
だからこそ俺は、ブラッドさんには十分に気をつけた方が良いとも思った。

あの人はエアの代行者でもあって、この世界のトトでもある人なんだ。
 
ブラッドさんはオフィーリアさんが成し遂げられなかったことを、代わりに引き継いで成し遂げようとしている。

一見、彼のその行動は自分のせいで死んでしまった、彼女へ対する罪滅ぼしにも思えるかもしれない。
 
でも……本当にそうなのだろうか?
 
ブラッドさんは全ての魔剣と守護者たちを集めて、エアと守護者たちが交わした約束を果たそうとしている。

でももしそれを手っ取り早く済ませるなら、守護者なんて誰でも良いはずだ。

彼の目なら、守護者になれる器を持っている人材なんて直ぐに見つけ出せるだろうし。
 
でもブラッドさんは、おそらく時間を掛けて守護者になれる人を集めている。
 
俺たちの当面の目的は、この世界に開けられた時空の割れ目を閉じる事と、各々今よりもっと強くなることだ。
 
今よりもっと強くなる事が出来れば、大切な存在だって守る抜く事ができる。でも……何かが引っかかるんだ。
 
ブラッドさんは俺たちに修行を付けてくれるとは言っているけど、本当の真意はまだ見つけられていない。

エアと守護者たちが交わした約束を果たさせるだけなら、こんな急いで強くなる必要があるのだろうか? 

まさか……暴食の粒子のような存在が、またこの世界に進行して来ようとしているのだろうか?