✩ ✩ ✩

「星の涙……それがエア様の雫だったと言うのは、本当なのですよ」
 
私たちはさっきまで待ち合わせていた公園へと戻って来た。

公園は朝とは少し違い、夕方の時間帯になる頃には人の姿はあまり見られなかった。

私は少し寂しく思いながら公園の中を見渡した後、彼女のその言葉に軽く目を見張った。
 
夏の生暖かい風が私たちの髪をなびかせながら吹き抜けていき、夕日のオレンジ色の光がエルさんの金色の髪をキラキラと照らす中、彼女は言葉を続けた。

「トト様とエア様は元々、星の願いによって生まれた子供なのです。お二人は【この世界を再生させて欲しい】と言う強い願いから生まれ、その願いを叶えるために、サファイアやわたくしたち守護者をトト様は集めたのです。しかし……わたくしたち守護者は、本当はエア様を守るために集められた存在だったのです」
 
エルさんは目を細めると夕焼け空を見上げる。

「【エア】と言う、世界を救えるただ一人の存在を守るために」

「え……」
 
トトは……その中に含まれていないの?

「星の願いによって生まれたお二人でも、世界を再生させる力を持っていたのは、エア様だけだったのですよ。トト様は【自分には何の力もない】とおっしゃっていましたが、彼は彼なりの力を持って、エア様を側でサポートしてくれたのです。雫と呼ばれる、マナを魔力へと変換させる考えを思いついたものトト様ですし、そして星の涙と言う雫を形にしたのも、彼が居てこそのものでした」

「ちょ、ちょっと待ってください! 星の涙はもともと、エアの中にあった物じゃないんですか?」
 
アレスの言葉にエルさんは頭を左右に振った。その姿にアレスは軽く目を見張り、私の頬には汗が伝った。