エクレールさんはそう言って、顔をプイッと横にそむけてしまった。

そんな彼女の姿にアレスは深々と溜め息を吐いた。

ああ、この流れもいつも通りだと内心そう思いながら、私はそっぽを向いているエクレールさんに問いかける。

「あの、エクレールさんは星の涙について詳しいんですか?」

「……【エル】。なのですよ? ソフィアちゃん」

「あ、はい……」
 
エクレールさん……エルさんは、ぐっと自分の顔を私に近づけると、自分をそう呼ぶように強制させるためか、ニッコリと微笑みながら言う。

さすがの私でも、彼女のその笑顔には頷くことしか出来ないでいる。
 
私が間違って【エクレールさん】と呼ぶ度に、なぜ知っているのか分からないけど、私の恥ずかしい話をアレスたちに話し出すので、それをさせない為にも私は【エルさん】と呼ぶようにしている。
 
サファイアさんがたまに言っている【腹黒女】と言うのは、あながち間違いではないのかもしれないと、ここのところ薄々感じているところだ。

「お二人は星の涙について、詳しく知りたいのですか?」
 
その言葉に私とアレスは顔を見合わせて頷いて見せる。

「そうなのですね……分かりました。わたくしが知っている限りについて、星の涙の事をお話するのです」
 
エルさんはとても辛そうに表情を歪めた後に、わざと私たちに笑ってみせた。

その笑顔に疑問を抱きながらも、私たちは誰も居ない場所へと移動した。