アレスに連れられてきたのは、魔法協会が管理している内の一つである、この街で一番大きな魔道図書館だった。
 
魔道図書館では魔法協会に申請を出せば、借りたい本を数日間だけ借りる事が出来るシステムがある。

しかし中には年齢制限や、絶対に見る事を許されない魔法書も存在している。
 
もしそれらを借りたいとなったら、魔法協会の会員証が必要になってくる。

その会員証があれば、この魔道図書館を一日貸し切りにすることだって出来るんだ。

でもそれは前もって魔法協会への申請が必要になってくるけど、会員証があればある程度の魔法書は借りられるのだ。

「ねえ、アレス。魔道図書館に来てどうするの? 何か借りるの?」

「いや、ちょっと気になった事を調べに来ただけさ」
 
アレスは私の前を歩きながら、天井まで伸びている本棚を見上げて、年号事にお目当ての魔法書を探していく。

すると探していた魔法書を見つけたのか、アレスは少し背伸びをすると左手で魔法書を掴んで取る。

「それは?」

「エアの末裔について書いてある魔法書だよ」

【エアの末裔】という言葉に、私の中でオフィーリアさんの存在が浮かび上がった。

確かオフィーリアさんは、エアの末裔の最後の生き残りだったんだよね? 星の涙と呼ばれる膨大な魔力を秘めた雫を体内に宿しながら、魔剣と守護者を探していた人。
 
そして……ブラッドさんの恋人だった人でもある。

「ブラッドさんの話を聞いて気になってはいたんだ。エアの末裔と星の涙と言う雫の存在が」

「あら、奇遇じゃない。実は私も気になっていたのよ。エアの末裔はともかく星の涙と呼ばれる、エアが内に秘めていた雫って言うのが一体どんな物だったのかってね」
 
テトの言葉に軽く頷いたアレスは、パラパラと魔法書のページを見ながら、星の涙の事が書かれているページへと目を止めた。