だから今日は下手に声を掛けるべきじゃない。

「お金がないのにジュエリーショップへ、いったい何の用なのかしらね?」

「さ、さあ……」
 
それは気になるけど……、あまり詮索しない方が……。

「ま、良いわ。それでこの後はどうするのかしら?」

「この後は――」
 
今日はマーガレットさんへのプレゼントを選ぶために街へやって来たし、無事にそれも済んだからこの後の予定は特に決まっていない。
 
行きたい場所も今のところないから、今日はこれでもう解散かな? 

そう思っていた時、突然アレスが私の手を握ってきた。

「えっ?! ちょ、アレス!?」
 
突然の出来事にびっくりした私は、顔を赤くしてアレスの顔を見上げた。

い、いきなり手なんて握ってくるなんて……と、内心でそう叫ぶように言って慌てていたんだけど。

「ソフィア。もう少しだけ付き合ってくれないか?」

「……え?」
 
アレスのその言葉に私は目を瞬かせたのだった。