ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花

「お前の案、今回は借りることにするわ」

「ほお、じゃあ君は私の代わりにソフィアを殺してくれると言うんだね?」

「ああ、そうだな。本当にあいつらには強くなってもらわないといけないからな」
 
最初からそうだったじゃないか。

元々この件が済んだらソフィアとアレスは殺すつもりだった。

しかし今のアレスはエクレールの主になって貰っている。

だから殺す事は出来ないが、ソフィアを殺すことで、本当の強さは何なのかって事を教えてやる事は出来る。

「それじゃあ期待していますよ? トト様」

「……うせろ」
 
ミカエルは俺に背を向けると今度こそ、洞窟から出ていった。

その背中を最後まで見届けた俺は歯を噛み締めた。

「俺はこの世界のトトなんかじゃねぇよ……。あんな大層な存在になんてなれるはずがないだろ」
 
アルやレーツェルたちが望んでいる【トト】と言う存在は、守護者たち全員を引っ張っていける者のことだ。

俺はその存在になる事は出来ない。その席は今の俺には荷が重すぎるんだ。

「……ごめんな、オフィーリア」
 
俺は虹の花のツボミを見下ろし一滴の涙を流した。