黒の魔法教団が引き起こした世界の魔法(ヴェルト・マギーア)を巡る事件の終息直後、忘却の山を訪れていた俺は、あの戦いで半壊してしまった協会を見上げていた。
この協会では良く寝泊まりをしていて、中にあったはずの色とりどりのステンドグラスが密かにお気に入りだったと言うのに……。
俺が離れている間に変な奴らのアジトに勝手にされた挙げ句、まさかこうも壊されてしまうとは思ってもいなかった。
正直……残念だ。
ステンドグラスだけでも彼女に見せたかったんだけどな。
俺の目の前にある協会は破損が酷く、足元にはステンドグラスの破片や建物の瓦礫が辺りに転がっていて、これではもう協会と呼ぶには難しいだろう。
そんな事を思いながら再び歩き出そうとした時、分厚く覆われた霧の間から、珍しく青空が顔を出していた事に気がついた俺は、その青空に向かって手を伸ばした。
「……」
しかし顔を出していた青空は、直ぐに分厚い霧によって覆い隠されてしまった。
その光景を見届けた俺は伸ばしていた腕を下ろすと、元きた道を戻り始める。
歩き慣れた道を戻りながら、俺は山の入口へ向かおうとはせず、入口とは反対方向にある洞窟に向かって進路を変えた。
洞窟の周りには目くらましの魔法を張ってあるおかげで、他の奴らから見たらこの辺りはただの森の一部に見える。
なんせこの奥には、俺にとって大切な人が眠っているのだから。
目くらましの魔法を解いた俺は羽織っていたフードを取ると、そのまま洞窟の中へと足をみ入れた。
洞窟の中に足音が響いていく中、足元には道先を照らす水晶がそれぞれ色とりどりの光を放っている。
俺の足音に気がつく度に、赤、青、緑、黄色、紫などの光を放ち、俺を洞窟の奥へと迷わないように誘てくれる。
そうして俺は洞窟の奥へと辿り着いた。
洞窟の奥は開けた場所に出るようになっていて、人が何十人も入れる広さになっている。
「……っ」
そしてその奥には分厚い氷の水晶が浮いていた。
上下に小さく浮きながら、俺はその水晶に向かって歩き出す。
ここからだと、その水晶がどういう物なのかは分からない。
しかしそれは徐々に近づいていくに連れて、いったいどういう物なのかはっきりとしてくる。
この協会では良く寝泊まりをしていて、中にあったはずの色とりどりのステンドグラスが密かにお気に入りだったと言うのに……。
俺が離れている間に変な奴らのアジトに勝手にされた挙げ句、まさかこうも壊されてしまうとは思ってもいなかった。
正直……残念だ。
ステンドグラスだけでも彼女に見せたかったんだけどな。
俺の目の前にある協会は破損が酷く、足元にはステンドグラスの破片や建物の瓦礫が辺りに転がっていて、これではもう協会と呼ぶには難しいだろう。
そんな事を思いながら再び歩き出そうとした時、分厚く覆われた霧の間から、珍しく青空が顔を出していた事に気がついた俺は、その青空に向かって手を伸ばした。
「……」
しかし顔を出していた青空は、直ぐに分厚い霧によって覆い隠されてしまった。
その光景を見届けた俺は伸ばしていた腕を下ろすと、元きた道を戻り始める。
歩き慣れた道を戻りながら、俺は山の入口へ向かおうとはせず、入口とは反対方向にある洞窟に向かって進路を変えた。
洞窟の周りには目くらましの魔法を張ってあるおかげで、他の奴らから見たらこの辺りはただの森の一部に見える。
なんせこの奥には、俺にとって大切な人が眠っているのだから。
目くらましの魔法を解いた俺は羽織っていたフードを取ると、そのまま洞窟の中へと足をみ入れた。
洞窟の中に足音が響いていく中、足元には道先を照らす水晶がそれぞれ色とりどりの光を放っている。
俺の足音に気がつく度に、赤、青、緑、黄色、紫などの光を放ち、俺を洞窟の奥へと迷わないように誘てくれる。
そうして俺は洞窟の奥へと辿り着いた。
洞窟の奥は開けた場所に出るようになっていて、人が何十人も入れる広さになっている。
「……っ」
そしてその奥には分厚い氷の水晶が浮いていた。
上下に小さく浮きながら、俺はその水晶に向かって歩き出す。
ここからだと、その水晶がどういう物なのかは分からない。
しかしそれは徐々に近づいていくに連れて、いったいどういう物なのかはっきりとしてくる。