「桃、明日の朝こそ、お願い!」


「嫌だよ、龍兄。
 学校に遅れちゃうから」


「明日が、その子に声をかける
 最後のチャンスなんだよ。

 それが終わったら
 学校まで俺がバイクで送ってやるから」


 龍兄が惚れている
 名前も知らない女の子。


 毎朝、小学生たちが学校に行く時間に
 ある横断歩道に立って
 旗振りをしているらしい。


 話しかける勇気がないから
 私に話しかけて欲しいと
 今、お願いされているんだけど。