春休み中に
 桃ちゃんと電話でお話しした。


 始業式の日は、ポニーテールをして
 シュシュをつけて行こうね。とか。


 帰る時間になったら
 誰もいなくなった教室で
 もらったベストに
 二人で着替えて帰ろうって。



「桃ちゃん、十環先輩のベスト
 すっごく似合ってるね」


「そうかな?
 うすピンクの服なんて着慣れてないから
 自信ないよ」


「そんなことないよ。
 シュシュとお揃いですっごく可愛いよ」


「六花だって、
 一颯先輩の真っ赤なベストもシュシュも
 似合ってる。
 リンゴの刺繍もかわいいし」


「ありがとう。
 でも……教室を出るのが怖いよね……
 絶対にみんなから
 変な目で見られちゃうし……」


「大丈夫。
 二人一緒なら怖いものなんてないでしょ。
 早く六花の家に逃げ帰って
 お疲れさまのたこ焼きパーティーしよう」


「怖いものなんてないのに
 逃げ帰るって。フフフ。」