◇◇◇◇

「桃ちゃん、入って」


 十環先輩の家族と
 龍兄と6人で
 桜の下でお花見を楽しんだ後。


 十環先輩に促されるように
 2階にある先輩の部屋にやって来た。



 は~。
 なんか緊張する。


 8畳ほどの部屋に
 十環先輩と二人だけ。



 お花見の後

『ご褒美あげるから
 俺の部屋に行こう』

 甘い声で囁かれ
 王子様級の笑顔を向けられてから
 心臓のドキドキは加速したまま。


 いつ心臓が止まっても
 おかしくないような状態の私とは
 正反対の十環先輩。


 いつも通りの穏やかな笑顔で
 窓の外を指さした。