「龍! 
 勝手に入ってこないでよ!」


「何回もノックしたのに
 返事がねえから」


「出てって!
 私の部屋に入らないでって
 言ったでしょ!」



 俺に背を向け
 机に顔を伏せた小百合。


 机の上には
 俺と小百合が一緒に写っている写真が
 何枚も、ビリビリに破かれている。



 まじか……

 俺との思い出を消し去りたいほど
 俺を嫌いってことなのかよ。



 昼間に言ってたもんな。

 
『付き合う相手、俺でも良くない?』って
 俺が勇気を出して伝えた時

『龍は……ムリ』
『絶対に好きにならないって
 わかってるから』って。



「悪かったな。
 勝手に部屋に入って」



 そう言って部屋を出ようとしたとき
 手に持ったままのゲームソフトが
 目に入った。



『龍兄!
 何をしに小百合さんに会いに来たわけ!

 元総長らしく
 自分の思いをぶつけなさいよ!』


 ゲームソフトを見ているだけで
 桃に、怒鳴られた気分。



 俺はソファにゲームソフトを置くと
 机に顔を伏せたまま泣き続けている
 小百合のところに来た。