そんな時、一人の男が
 モジモジしながら
 板チョコを私の前に差し出した。


「これって?」


「桃華ちゃん、さっきはごめんな。
 どこの族か名乗れなんて怒鳴って。
 お腹すいてるだろ、これ、食べろよ」


「あ……ありがとう」


「俺もすいません。
 するどい目つきで睨む女子高生なんか
 いないって言って」


 今度は、プリンを渡された。


 その後も、なぜか一人一人から謝られ
 ようかんやミカン
 グミなどを手渡された。


 お腹すいてるだろ?って手渡されたのに
 なぜこのチョイス?


 全部、甘いものだし。

 お腹の足しになりそうなものが
 1個もない。


「俺も……謝らなきゃ……
 十環さんにはもっと品のある人が
 似合うなんて生意気なこと言って
 すいませんでした」


 ひ弱そうな、青葉(あおば)って奴も
 本当に申し訳なさそうに
 サラミを差し出してきた。


 青葉、ナイス!


 あんたが一番
 お腹の足しになるものをくれたし。


 そう心の中でつぶやいた時
 ハムハムの穏やかな声が耳に届いた。


「桃華、はい、ミルクティーな」


「みんな……ありがとう」


 心にしみわたるような
 温かい優しさをくれる
 TODOMEKIのみんな。


 その時、テンションが異様に高い男が
 軽い口調でしゃべりだした。